「仲間」と試行錯誤する「価値」ってなんだろう?/”問い”を育む 高校生たちの物語 #64
「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。
日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。
かなさんプロフィール
山形県に住む高校3年生。学校ではバレーと吹奏楽、課外活動ではボランティア活動を中心に、多岐にわたる取り組みを行っている。趣味は自衛隊のイベントに参加すること。忙しい日々が好きで、「走りながら考えるタイプ」。 |
自分が関わる全ての活動で共通しているキーワードは「食」
Q:今取り組んでいる探究活動/マイプロジェクトについて教えてください
学校では『地域に求められる農業人』を育てる課題研究活動に取り組んでいます。私は稲作部門に所属し、春の田植えから秋の稲刈り、冬には収穫したお米を使った活動まで、一年を通じてお米作りに携わっています。今年は、山形県のブランド米『つや姫』を出品し、全国大会にも挑戦しています。
また、課外活動では、新たに設立されたボランティアサークルの代表を務めています。このサークルでは、子ども食堂やフードバンクの支援、地域イベントへの出店などを行い、『食』をキーワードに地域と繋がる活動をしています。
▲稲刈りの様子
活動の「過程」にこそ「価値」があることに気がついた
Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか
探究活動を通して、自分の成長を実感する瞬間が増えました。特に、活動を進める中で壁にぶつかったとき、その原因を探りながら解決策を見つける力がついたと感じます。例えば、稲作で天候不良による品質の低下を経験したときには、過去のデータを調べたり先生や地域の農家さんに相談したりして改善策を模索しました。結果的に、その一つひとつの経験が次のステップに進む自信へと繋がりました。
また、仲間や後輩と協力しながら取り組むことで、人と意見を共有し合うことの大切さも学びました。探究活動を始めた当初は、自分のアイデアを言葉にするのが苦手でしたが、活動を通じて意見を発信することが自然とできるようになりました。さらに、相手の意見を尊重しながらも自分の考えを伝える力が身についたことで、チームでの話し合いがスムーズになり、より良い結果を出せるようになったと感じています。
探究活動を通して気づいたのは、結果だけでなく、その過程に価値があるということです。たとえ失敗しても、そこから学びや新しい発見が生まれることが多く、失敗を恐れず挑戦する大切さを強く感じました。この経験を通じて、自分の中で『やってみよう』という前向きな気持ちが生まれたことが、一番大きな変化だと思います。
Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか
大学進学後は、これまでの探究活動で学んだことをさらに深めていきたいと思っています。具体的には、米粉用のお米を使った商品開発に取り組みたいです。趣味のお菓子作りを活かして、グルテンフリーでアレルギーに対応した食品を作り、多くの人が安心して食べられる商品を世に出すことが目標です。探究活動の経験から、食を通じて人と人が繋がる場を作ることの楽しさを知ったので、それを形にしていきたいと思っています。
また、自衛隊のイベントにも引き続き参加し、人の役に立てる活動をしていきたいです。自衛隊の方々と接する中で学んだ「チームワーク」や「責任感」は、農業や地域活動とも繋がる部分が多くあります。これらの経験を通じて、人の命や生活を支えるために自分が何ができるのかを探究し続けたいです。
これからは、地域や社会の課題に目を向けて、より多くの人と関わりながら自分の可能性を広げていきたいです。例えば、地域の伝統を守るための活動や、子どもたちが農業に興味を持つきっかけを作るような取り組みもしてみたいです。自分のやりたいことや挑戦したいことはまだたくさんありますが、その一つひとつに向き合いながら、失敗を恐れず挑戦していきたいと思います。
さらに、これまでの経験を活かして、後輩や周りの人たちに何かを伝えたり教えたりすることにも挑戦したいです。自分が受けたサポートや学びを次の世代に繋げることで、より良い未来を作っていけると信じています。
自分の「考え」や「想い」を話せたことで自信がついた
Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください
“X”でカタリバオンラインの存在を知り、興味を持ちました。自分がやっている活動を発信できる場になると思い、思い切って参加しました。最初は不安もありましたが、参加するうちに、全国の高校生や大学生と繋がれることの面白さに気づきました。
普段学校では話せないことも、この場では素直に話せます。また、他の参加者からの意見やアドバイスをもらうことで、新しい視点や考え方を学べる貴重な時間でした。
Q:カタリバオンライン for Teensに参加してどうでしたか
カタリバオンライン for Teensに参加して、本当にたくさんの気づきと成長がありました。最初は不安でいっぱいでした。オンラインという環境で、顔を合わせるわけでもない相手とどうコミュニケーションを取ればいいのか分からず、自分がうまく馴染めるのか心配でした。でも、参加を続けるうちに、その不安は少しずつ薄れていきました。理由の一つは、参加者みんなが温かく迎えてくれたことです。私が話すたびに相手が興味を持って聞いてくれたり、励ましてくれたりしたことで、自然と安心感が生まれました。
中でも、全国の高校生たちと意見を交換し合う時間はとても刺激的でした。それぞれが違う地域で違うテーマに取り組んでいて、その多様性に驚かされると同時に、『自分の活動ももっと発信していいんだ』と自信を持てるようになりました。また、普段は聞けないような視点や考え方を知ることで、自分の中で新しいアイデアが生まれる瞬間がたくさんありました。
特に印象に残っているのは、「実践コース:ワークショップデザイン」での経験です。短期間で企画を練り上げ、発表する過程は大変でしたが、同じ講座に参加する仲間と一緒に作り上げる達成感は何物にも代えがたいものでした。自分が作成したスライドやプレゼンに対して、他の参加者から感想や質問をもらうたびに、『自分の考えが誰かの心に届いているんだ』という実感が湧き、とても嬉しかったです。
また、普段の学校生活では出しづらい自分を素直に表現できたのも大きな変化でした。学校ではどうしても男子が多い環境の中で、自分の意見を引っ込めてしまう場面もありましたが、ここでは違いました。他の参加者が私の話をしっかりと受け止めてくれる安心感があり、自分の考えを率直に伝えることができました。これが自分にとって大きな自信に繋がったと思います。
Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!
自分のやりたいことがあるなら、まずはやってみてください。時間がかかっても、少しずつでも行動に移すことが大切だと思います。『やらないで後悔するより、やって後悔する』方が成長に繋がると思っています。
私自身、探究活動やボランティアを通じて、自分の意見を発信する大切さを学びました。皆さんも、自分の可能性を信じて、チャレンジを楽しんでください!