結局「ヒゲダン」ってどこがいいの? Official髭男dismが多くの高校生を虜にしたワケ|TCPライティングコース受講者課題
2021.07.27 UP

「Official髭男dism」(以下、ヒゲダン)といえば、誰もがその名前を1回は聞いたことがあるバンドだろう。
曲の雰囲気は好き、周りの人が聴いているから自分も、という人は多いと思う。しかし彼らの楽曲の「どこがいいか」をたずねられたら、答えに詰まってしまう人もいるのではないだろうか。そんな人たちに、彼らの曲がとにかく大好きな私が思う「ヒゲダンの魅力」を紹介したい。
ヒゲダンはなぜこんなにも売れたのか?
まず、音楽ストリーミングサービス「Spotify」が発表した「国内で最も再生された楽曲」、「国内で最も再生されたアーティスト」などのランキングを参考に、ヒゲダン、「あいみょん」、「YOASOBI」、また「瑛人」などの楽曲から「流行るJ‐POPの共通点」として以下の3つの基準点を設けた。
- トリッキーすぎない分かりやすい曲
- 曲の背景にストーリー性がある
- 最初のイントロで「続きが聞きたい」と思わせる曲
また、インスタグラムを通じて、高校生に「自分が思うヒゲダンのいいところ」を集めた。私自身の考えとインスタで集めた意見をもとに、ヒゲダンの曲が①~③の基準にどれだけ当てはまっているかを考えた。
①の「トリッキーすぎない分かりやすい曲」の観点では、髭男はダントツ。人には好きな歌声、苦手な歌声があるものだが、インスタでは「声が心地いい」「高音が綺麗で聞きやすい」など、歌声を評価するものが多くみられた。ボーカル・藤原聡さんの、王道で綺麗な歌声は、誰にでも親しみやすくいつまでも聞いていたくなる心地よさがある。これは流行った理由の中で特に重要なものであると思う。
また、「歌詞の分かりやすさ」も多くの人が好き好んで聞く理由として挙げられるだろう。詩は比喩を用いて作られることが多々ある。しかし、それらを多用しすぎたりあまりにも遠いものに例えたりすると、情景が伝わりづらい詩ができてしまう。ほとんどのヒゲダンの曲を作っている藤原さんの歌詞には、それがない。もちろん比喩表現は使っているのだが、驚くほどナチュラルで美しい。例として、「Trailer」という曲を挙げる。この曲には、「鉄塔」や「ゆっくり」「ぼんやり」などといった速度を表す言葉とともに「紺碧のカーテン」という言葉が効果的に使われている。この表現により、ある時間帯を表している。おそらく多くの人が「夜明け」だと感じたのではないだろうか。確かに比喩を用いているが、分かりにくいとか伝わりにくいとかは全くなく、誰の頭にも同じような情景が浮かび、それによって歌の世界観が深く印象付けられる。それが、藤原さんの書く歌詞の強みであり、また不思議なところでもある。
②の、「曲の背景にストーリー性がある」はヒゲダンの得意分野。ドラマ・映画ともに人気を博した「コンフィデンスマンJP」や、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」など、これまで多くの人気作品の主題歌を担当してきた。作品と見事マッチする歌詞の中にはドラマの内容がギュッと詰め込まれていて、まるであらすじを読んでいるかのよう。特に歌詞が作品とマッチしている曲は映画「ドラえもん のび太の宇宙小戦争」の主題歌「Universe」。Bメロの「伸びた(のび太)」やサビの「零点」など、歌詞の中に自然にドラえもん要素が取り込まれている。
また何かの主題歌として書かれていないものの、曲自体が一つの物語になっているものとして「115万キロのフィルム」が挙げられる。この曲は、恋人との生活を一つの映画にしていくことが主題となっている。ちなみに、題名の「115万キロ」にはとても重要な意味が込められている。映画のフィルム80年分は約115万キロ。人生を80年と仮定すると、この曲にはそれ分のフィルムを用意して、彼女との思い出をそこに収めていきたい、ずっと残しておきたいというテーマが隠されている。歌詞だけでなく題名にも深い意味があると思うと、よりヒゲダンの魅力を感じざるを得ない。
③の、最初のイントロで「続きが聞きたい」と思わせる曲とは、イントロの部分で曲の雰囲気を掴め、世界観に引き込まれる曲をさすと思う。CDを買わずとも曲が聞ける今の時代、イントロの時点で聞く人の心を掴むことは「流行る」ための大前提である。①の項目にも共通するが、ヒゲダンはほとんど全部の曲において、誰が聞いても伝えたいことが分かりキャッチーで、かつシンプルだ。それはサビだけではなく、イントロから当てはまる。例えば、「イエスタデイ」のイントロでは秒針という具体音(本来楽器ではないものの音)を取り入れることで時空の移動を表していて、聞き手を「過去」へと誘っている。
この章では3つの観点からヒゲダンが流行ったワケを考えたが、ヒゲダンは①~③までの項目すべてにおいて当てはまっていると思う。よって、ヒゲダンが流行ったのは、
- トリッキーすぎず、シンプルで分かりやすい曲だから
- 曲の背景にストーリー性があるから
- 最初のイントロで「続きが聞きたい」と思わせるから
の3つの理由が主である。
誰もが引き込まれる魔法の世界「ヒゲダンワールド」
インスタで集めたヒゲダンのいいところとして一番多かったのは、「歌詞が共感できる」。高校生の心に刺さる曲として、「Stand By You」が好きだという声が多く上がった。やはり高校生には背中を押してもらえる曲が人気なようだ。また、「宿命」や「Laughter」も同様の理由で支持を集めた。
ここまで歌詞の良さを主に紹介してきたが、ヒゲダンにはライブにも魅力がある。私は先日、ヒゲダンのオンラインライブを鑑賞した。ライブだとピッチが上下したり、声が震えたりとCDやMVとは違う声や音になりがちだが、確かに藤原さんは声がブレたり本来の音からズレてしまったりすることがなかった。どんなシチュエーションにおいても自身の歌声を保つ、という藤原さんの魅力がより伝わってきた。
もし少しでもヒゲダンに興味を持った人がいたら、一度でいいから彼らの音源を聞いてもらえたらうれしい。そして少しでもいいなと思ったら、ライブや音楽番組での生のパフォーマンスを体感することもおすすめしたい。音源だけでは伝わり切らないヒゲダンの曲や藤原さんの歌声の良さが伝わると、私は信じている。
(執筆:7月期TCPライティングコース|高1・しーちゃん)
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私を変えた挫折と「校外活動」との出会い|TCPライティングコース受講生課題
2021.07.27 UP

今、あなたには自分らしくいられる居場所はありますか?「あるよ!」「毎日楽しい!」という人もいれば、「自分を外で出すのが苦手でそういう居場所はあまりないかも」という人もいると思います。
私もかつては、自分を表現したり自分の意見や思いを人に伝えたりするのが苦手でした。
そんないわゆる「コミュ障」だった私ですが、あることをきっかけに人と話すことが大好きになりました。
それは「校外活動」です。
真面目で完璧主義だった私の挫折
私は中学生の頃までどこにも居場所を感じられずにいました。大好きな友達も家族もいるけれど、通っていた中学になじめなかったからです。そんな自分が嫌いで仕方がなかった私は、とにかく勉強をし続けました。勉強ができれば周りに認められると思ったのと、勉強ができる自分だけは私自身も認められると思っていたからです。
実際に中学生の頃は成績も良く、高校受験も第一志望の学校に合格することができました。このときはとても嬉しくて、ようやく自分らしくいられる学校に行けると大喜び。
しかし、高校一年の夏に私は体調を崩すことが多くなり、学校に行けなくなってしまいました。当然、授業に出ていない日が増えるので勉強も出来なくなっていきます。唯一自分が人に誇れる「勉強」という強みを失った私は自分に失望し、もともとネガティブだった思考のせいもあって、「勉強が出来なくなった自分の価値ってどこにあるんだろう」と自分の存在価値が分からなくなっていく日々がやってきます。最終的に、在籍していた全日制高校から通信制高校に転学しました。
「普通」の幻想に気づいた頃、校外活動に出会った
いざ通信制高校に転学してみると、髪をカラフルに染めていたり、各々の好きなファッションを満喫していたりする同じ高校の学生たちに私は衝撃を受けました。なにより一番驚いたのは勉強の面で、今までは「勉強が出来ないと死ぬ!」くらいに思っていた私が、「自分のペースで出来ればいいさ~」くらいの雰囲気の高校生達に囲まれたことで「なんだ、案外勉強が出来なくても生きていけるのか」と思ったのです。さらに多様性溢れる通信制高校で過ごしていくうちに、今まで自分が無意識に自らに課してきた「普通」のレベルの高さに気づきました。当時の私が考える「普通」は「良い高校」「良い大学」に入り、「良い会社」に就職するということ。特に私は「勉強以外は他の人より劣っているのだからせめて勉強だけでも人並み以上できないといけないと!」と思い自分で自分を追い込んでしまいました。きっとその苦しい思考があったから高校に入学して心がパンクしてしまったのでしょう。そして、「勉強が出来ないから、もう人生生きていけない」という訳ではないことを転学を通じて私は徐々に理解しました。
「せっかく全日制高校にいた頃より自由な時間が増えたのだから、他の高校生が出来ないことにチャレンジしたい!」
これは徐々に体調が回復した私に芽生えた思いです。ちょうどその頃、私は学校の近くの図書館で高校生向けのフリー雑誌と出会います。内容は芸能人の方や企業の社長へのインタビューから話題のアーティストのライブレポートまであり、どのページの写真も素敵なものばかり。「すごい、これが無料でもらえるなんて!」と感動していたら、最終ページに目が止まりました。
「あなたもスタッフになりませんか?」
この文章を読んだとき、「これだ!」と心臓が飛び跳ねたのを一年以上経った今も鮮明に覚えています。しばらく感じていなかったワクワクが湧いてきてとても嬉しかったことも。そして私はこのフリー雑誌のスタッフ活動を始めたのをきっかけに校外活動をスタートしました。
ありのままの自分を受け入れる
校外活動を始めて、自分の苦しい思考が少しずつ楽な考え方に上書きされていきました。例えば、私は他の人から嫌われることを過度に恐れていたのですが、校外活動で複数のコミュニティに入り様々な人と関わりを持つ中で人と話すことが楽しさを知りました。また、いくら自分が努力してもどうしても波長が合わない人もいるし全員に嫌われないことは不可能なのだということも。この時期はちょうど新型コロナウイルスが世界に蔓延し始めた為、活動はほとんどがオンラインでした。それがもどかしいという高校生もいましたが、インドア派の私にはとても向いていたのです。毎日のようにzoomで様々なオンラインイベントに参加し、遠く離れた初対面の人々と画面越しで出会うことは私にとって刺激的でワクワクの連続。その楽しさの虜になったからこそ私は今でもオンラインでの校外活動を続けています。始めた頃と変わったのはだんだんとオンラインでは満足できなくなってオフラインでの活動もするようになったことです。校外活動を始めて一番嬉しかったのは活動で出会った優しい方々のおかげで自分はありのままでいいんだと思えるようになれたことで、今は毎日がとても楽しく、ワクワクする毎日を送ることが出来ています。
それでも私は前を向く
転学を決めた時は本当にどん底にいる気分でした。でも、そこから私は変わることができたと今は思います。もし当時の自分に会えるなら「つらい決断だったけど、そのおかげで今の自分があるから良かったよ。ありがとう。」と伝えたいです。
私は今でも時々、どん底にいたときのような気分になってしまうことがあります。それでも、あの挫折と校外活動で学んだことがあるから前を向こうと思えます。それは、良いことにも悪いことにも必ず終わりがあり、どんなにつらい状態も永久には続かないということです。それから、ありのままの自分を受け入れてくれるあったかい人達が必ずいるよということも。
もし、今これを読んでいるあなたが「どこにも居場所がない」と感じていたら一度いつもの場所から出て、今まで行ったことのない外の世界に足を踏みだしてみてはいかがでしょうか。例えばSNSで同じ趣味の人と繋がったり、お気に入りの本屋さんや行きつけのカフェを見つけたり、新しく習い事を初めてみたり。もちろんこのカタリバオンラインで遠く離れた同年代の人と繋がってみることもひとつの選択肢です。もしかしたらそのひと絞りの勇気があなたらしさを大事にすることや、大好きな人々との出会いにつながるかもしれません。きっと誰にでも居場所はあるし、自分らしくいられる居場所があるはずです。
(執筆:7月期TCPライティングコース|高3・もも。)
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