みんなが言う「普通」って何だろう?/”問い”を育む 高校生たちの物語 #50
「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。
日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。
こうきさんプロフィール
高校3年生、山口県出身。 高校2年生の時に、「一人ひとり関心が異なるのに、なぜみんな”良い大学”を目指して同じ内容を勉強しているんだろう?」と疑問に思い、通信制高校に編入。自分のペースで学業を進めながら、学童保育のアルバイトやマイプロジェクトなど、やりたいことに積極的に取り組んでいる。 |
負けず嫌いに火をつけた、友人からの心ない言葉。
Q:今取り組んでいる探究活動/マイプロジェクトについて教えてください
色々な活動をしていますが、今特に力を入れているのは「通信教育に革命を起こそう!」というプロジェクトです。県内にある通信制高校5校にヒアリングをしたり、高校生30人ほどを集めて進路に関するイベントを開催したりしました。
このプロジェクトを進めるきっかけになったのは、高校2年生で通信制高校に編入した際、友だちから「お先真っ暗だね、大学行けないね」などの言葉を掛けられたことです。「自分の好きなことを好きなように学びたい」と思い編入を決断したのですが、友人からこのような言葉を掛けられて初めて、通信制高校に対してネガティブなイメージが蔓延していることを知りました。
実際、私が通っている通信制高校は進学実績も良く、ポジティブな面もたくさんあります。実態を知らないからこそ出てきたネガティブな発言だったと思うのですが、負けず嫌いな私としては本当に悔しく、将来的には通信制高校に対する認知を変えて、進路選択の際に全日制と同等に扱われる未来をつくりたいです。
友人からの誘いに乗っかったら、行動することを楽しむ自分に出会えた。
Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか
一番大きな変化は、自分でも案外色々なことができるかもしれない、と思えるようになったことです。中学までは、生徒会に入ってみたいと思っても勇気が出ず、立候補しないで内心後悔しているような状況でした。
転機になったのは高校1年生の時です。校外活動に積極的な友人に誘われてボランティアやマイプロジェクトに参加するようになり、自分を応援してくれる地域の人や、自分たちの活動に対して「ありがとう」と言ってくれる人たちと出会ったことで、人に聞きまくる・行動しまくることへの抵抗がなくなっていきました。実際に、こうした活動を進めていく中で自分の進路についても考えるようになり、志望先に通っている大学生に会うために湘南まで足を運んだこともあります。
こうして色々なことに取り組んでいる生徒は校内では珍しいらしく、最初は先生や同級生からも「変なことやっている」と見られていました。けれど続けているうちに、「色々やっとってすごいな」という言葉に変わった時があり、その瞬間すごく嬉しく達成感が湧いてきたのを覚えています。
▲探究活動の一環で、公設塾について発表・議論するこうきさん。
Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか
たくさんありますが、まずは今通っている通信制高校で生徒会を立ち上げたいです。通信制高校の魅力を高めるためにも、もっと生徒が主体的に運営していくことが重要だと思っているのですが、担任や校長先生への提案を進める中で、なかなか道のりは険しそうだな…と感じているのが正直なところです。
更に取り組んでみたいのは、進路に関するオンラインイベントの開催です。進路選択に悩む高校1~2年生と、実際に大学・企業に属する登壇者4~5名を集めて、対話する場を作っていきたいです。まったく異なる立場の人たちを集めて対話を重ねることで、生徒が自分にとって最適な選択肢を考えられるだけでなく、大人側にも気づきや学びを得ていただけるのではないかと思っています。
周りから見たら「変なこと」でも、やり続ければ「普通なこと」に変わる。
Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください
一番初めのきっかけは、マイプロジェクトが投稿しているプログラム案内をFacebookで見たことです。興味本位で参加してみたのですが、最初に参加した高校生企画では、同年代の高校生がプログラムの主催・進行をしっかりと行っていただけでなく、参加者側も積極的に意見を述べていてすごく面白かったです。
そこから「ファシリテーションスキル」など他のプログラムにも参加してみたのですが、どのプログラムも大満足でした。いい意味で気を遣わずに率直に発言してくれる参加者が多く、普段高校生と接する機会が少ないのでとても学びになりました。カタリバオンラインの参加者は国も県も異なるところから参加しているので、違う見方・考え方をした人たちの意見が混ざりあっていくのが面白いと思います。
Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!
「高校生のうちの変人は普通だ、もっとやっていけ!」ということを一番伝えたいです。多くの学校は昔から大切にしてきている価値観を守ろうとしているかもしれませんが、その中で「異質な存在」になったり「変なこと」に挑戦してみたりすることは、決して無意味ではないと思います。やってきたことには絶対意味があるし、いつかその「変なこと」が普通になる時が来るので、粘って色々なことに挑戦してみてほしいです。必ず、良い未来が待っています!
※こうきさんが主催する高校生企画はこちら!
Teens会員の高校生持ち込み企画「多様に変化する社会『これから求められる学校教育』とは?~そもそも学校って必要??『学校教育』に『疑問』を持つ人集合!~」(23年8月10日実施)