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私たちを突き動かすものは何だろう?/”問い”を育む 高校生たちの物語。 #27

「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。

日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。

組長さんプロフィール

高校3年、宮城県在住。コロナによる学校と地域の関わりの薄さを変えたいと発起し、生徒会長を務め上げる。応援団員や地域リーダー育成プログラムのジュニアリーダーも兼務。トレードマークは着物と七三分け・眼鏡。尊敬する人は、ミスター・ビーン、田中角栄、ひいおじいさん。

 

「自分が動けば変えられる」そう実感したコロナ禍の休校期間。

Q:今取り組んでいる探究活動/マイプロジェクトについて教えてください

地元農家さんの力を借りて、後輩3名と共に「キクラゲ」の栽培から販売までを手がけています。2022年5月に活動開始しましたが、キクラゲは栽培の手間がほとんどないため、収穫までの2か月間を使って、販売元となる道の駅や地元商店に声掛けすることができました。7月の販売後には【高校生らが「きくらげ」で地域おこし】というタイトルで広報誌に取り上げていただき、地元の盛上げに少しでも力になれたので嬉しかったです。

この活動は、本当に多くの方々に支えられたからこそ実現できたと思っています。キクラゲの生産・販売による地域活性を提案してくださったのも、角田市が主催する「かく大學」で出会った農家さんでした。栽培に関してのアドバイスや販路の確保も、出会った多くの方々が知恵を貸してくださり、2か月という短い期間での成果創出につながったと思っています。

 


▲地元産のキクラゲを栽培する活動の一幕。運営メンバーとともに。

 

Q:なぜこのような活動に取り組み始めたのですか

きっかけは、コロナ禍で2か月休校になった高校1年生に遡ります。最初は友だちとゲームや雑談をして過ごしていたのですが、段々と飽きてしまい「何かしたい、外で活動したい」という気持ちを抑えられなくなりました。

そんな中ふと思い出したのが、中学3年生の公民の教科書に書いてあった「遊佐町の少年議会」です。中学生と高校生が町長・議員を務め、遊佐町の政策を大人と共に決めていく仕組みなのですが、この取り組みを知った当時、私はその画期性に大きく心を揺さぶられました。

子どもでも大人と同じように地域づくりに参画できる仕組みをつくりたい、と熱望していた私は、遊佐町役場に電話をかけ資料を取り寄せたり、角田市役所に話を聞きに行ったりしました。最初は「相手に失礼じゃないか」と臆する気持ちもありましたが、動いてみると想像以上に大人たちが協力的で、気持ちは必ず伝わると確信に変わりました。元々、人と違ったことをしたい気質だったこともあり、この経験をきっかけに、とにかく色々な場所に顔を出し行動していないと落ち着かないようになりました。

 

子どもから高齢者まで、全員が助け合える社会をつくりたい。

Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか

一番学びになったのは、多様な人の巻き込み方です。学校とは異なり色々な立場・年齢の方々がいるため、多角的に物事を見聞きし伝えていかないと、ずっと残り続けるすれ違いが生まれかねません。

特に、こちら側が一つの意見や見方に固執していると、相手が私たちのためを思ってアドバイスや質問を投げかけてくれているにもかかわらず、批判や子ども扱いと勘違いしてしまいがちです。そうではなく、どのようなアドバイスや質問も心からの贈り物だと思って受け止め、私たち自身も相手の話を聞きながらすぐにメモを取り、調べ、相手に関心を寄せていく姿勢を見せることが大事だと思っています。

 

Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか

今後は、福祉と地域マネジメントの双方を学び、「福祉の父」と呼ばれるような存在になりたいです。昨今のニュースを見ていると、子どもや高齢者・障がい者など、社会的弱者への虐待といった痛ましい事件が後を絶ちません。私は幼い頃から曾祖父・曾祖母と暮らしてきたためか、子どももお年寄りも、全員が助け合って笑いながら生きていく社会をつくりたい、と強く願ってきました。だからこそ、地域に住む人たちを包括する福祉と、仕組みづくりに繋がる地域マネジメントを学び、地域全体に貢献していけるようになりたい。

 

実践→失敗→再チャレンジのくり返しが自信を育む。

Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください

Instagramで広告を見かけ、「カタリバ=語り合う場所」だろうと想像し、即参加を決めました。元々少年議会に興味があったように、学生だけで語り合える場所を欲していましたし、自分自身も作りたいと思っていたので、何かヒントがあるのではないか、と期待していたんです。

 

Q:カタリバオンライン for Teensに参加してどうでしたか

最初に参加したのは、SDGsのプログラムです。色んな学生と話せるだろうと想像して参加したのですが、始まった瞬間に「これだ!」と嬉しくて興奮してしまいました。家にいながら全国の学生と議論・対話できる場は、まさに私が求めていたものでした。

その後多くのプログラムに参加しましたが、特に印象的だったのはファシリテーションスキルです。ファシリテーションの実践演習をした際、他の参加者から「プレゼンテーションになっていた」とフィードバックされました。自分でも薄々感じてはいたのですが、分かったつもりでやっていた自分が情けないと思いました。
そこで、同じプログラムを再受講することにしました。2回目の実践演習では、前回頂いたフィードバックを踏まえられたため、前回よりも上手くできたと思っています。

このように、小さな失敗をしたとしてもそこから再チャレンジしていくことで自信をつけられる場所。カタリバは、そんな場所なんじゃないでしょうか。

 

Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!

思い立ったら、すぐ行動しましょう!
また日頃から、自分はどんな人間かを観察しながら、周囲に発信していくこともおススメです。自分自身をブランディングして「私らしさ」を発信していくことで、周囲からの理解も深まり、一緒に活動していきやすくなると思います。
案外、私たちが妄想してしまうリスクは起きないものだと思っています。