周りを巻き込み、自分の活動を応援してもらう方法って??/”問い”を育む 高校生たちの物語 #39
「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。
日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。
かめさらさんプロフィール
高校2年、北海道在住、校内の有志が集まって結成されたボランティア局で副局長を務めている。所属する70名をまとめながら、コロナ禍でも実施可能なボランティア活動を考え、高校生の自分達ができることを周りを巻き込みながら取り組んできた。好きなものはリラックマ、バンド。 |
コロナ禍で制限された環境を変えたかった。
Q:今取り組んでいる探究活動/マイプロジェクトについて教えてください
ユニクロ・GUが行っている「届けよう服のチカラ」プロジェクトという、子ども服を学校で回収し、ユニクロから難民に送るプロジェクトに参加しています。これまで情報収集活動から含めると2年半程取り組んでいます。現在は私を中心に後輩4人を含めた7人がコアメンバーとして計70人で活動しています。
アクションとしては、自分達の活動を知ってもらうために、近隣地域へ回覧板を出したり、商業施設やマンションなどへの掲示を増やし、多くの人の目に届くよう工夫しました。また、コロナ以前にボランティア活動で繋がっていた地元の施設に連絡をとり、子ども服の回収箱を設置してもらいました。これにより今年度は合計6000着以上回収しました。
また、回収活動以外には情報発信の一環として、回収した服を色に分け、作品のように並べて発信することで、協力してくださった方々へ感謝の気持ちや、服についてのメッセージを伝える活動をしました。
他には、服の大切さや、どうして難民に届けることが大切なのかを保育園・児童館の子ども達へ説明する活動をしました。
▲活動の様子(写真)
▲服のチカラプロジェクトの詳細
Q:上記の取り組みを始めたきっかけは何ですか?
私は中学3年から現在に至るまでボランティア局に所属しています。以前はレモネードスタンドや保育園への訪問、地域のイベント補助などを行っていました。そのような活動をやりたくて入ったのですが、コロナの影響でこれら対面の活動が全くできませんでした。
ボランティア局は有志の集まりなので、一人一人がやりたいことを提案することができます。まず思いついたのは、「何もできないなら寄付をすれば良いのでは?」と感じ、自分なりに先生へ提案したものの、NPOやNGOによっては活動が不透明だから、無闇に集めて送るのは危ないのではと言われました。
情報収集を続ける中、「これならできる!」と見つけたのが、「届けよう服のチカラ」プロジェクトでした。誰でも知っている大手企業であるため、自分達の活動が確実に届けたい相手へ届けられると思いました。そこで、学校関係者や、先輩にも声をかけてプロジェクトをスタートしました。
周りを巻き込むことで、気がつけばやりたいことが実現できていた。
Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか
最初は先輩の活動をみたことで楽しそうと感じ、友達に誘われてボランティア局に入りました。期待していた活動ができなかった時に、「自分が想像していたものと違うぞ」と、モヤモヤしたことが、今のボランティア活動へ繋がりました。そこからどんどん自分の視野が広がり、今後の進路決定にも良い影響が出てきていると感じています。
私は何かを創り出したり、他者と協力して活動することにワクワクするタイプで、高1の時に、ボランティア局でいきなり先輩も巻き込んで、この「服のチカラプロジェクト」を始めました。その際に、顧問の先生は私にできることは全てやらせてくれました。ボランティア局内70人をまとめて、指示を出したり、何度もミーティングを重ねたり、協力していただいた施設との連携等、様々な経験をしました。その経験からコミュニケーション能力が鍛えられ、それを何回も何回も繰り返すことで経験値が上がり、緊張することが無くなりました。
現在は、地域や周りの人をどんどん巻き込みながら、ボランティア局を超えて外部でも徐々に自分達のアイディアを提案できるようになったことで、鍛えている自覚はなかったけれど、いつの間にか人を巻き込む力がついていました。
自分が初めて周りを巻き込み、成果が出て、やり遂げたということに達成感を感じています。
Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか
ボランティア局の別の企画でサステナビリティについて学んだ時に、フィリピンのスラム街でファッションショーをやっている女性から「トゥルーザコスト」という服の労働環境問題の映画について教えてもらったことがありました。2015年に上映されたのに、今も現状が全然変わっていないと気がつきました。そのため、中高生にもっと服についての問題を知って欲しくて、2022年12月に上映会を計画しましたが、コロナの影響でできなくなりました。まずは、この上映会を校内で実現させたいです。(下記に予告編のURLがあるので予告だけでも是非観てみてください。)
ファストファッションの裏側では…!映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』予告編
▲映画の予告編
今後は、受験生になることもあり、後輩たちにこのプロジェクトについて「どれくらい残せるか」を意識していきたいです。後輩たちも意欲的なので心配はしていませんが、ボランティア局として今後もこの活動を引き継いでくれれば嬉しいなと思っています。
現在の活動は学校周辺地域が中心です。なぜなら、洋服の回収方法は基本的に徒歩で行っているからです。大きな段ボールを持って歩いたり、リヤカーを押して移動することもあったたりするので、最大往復40分かかる時もあります。隔週金曜と決まっているので、雨が降っても傘をさして回収しています。自分達だけでこの活動を学校周辺地域外まで拡大するには限界があるので、他の学校へ私たちの活動が広がったら良いのではないかと思っています。
あと1つ。子ども服の回収に限定している理由は、大人の服はキレイなものが寄付されにくいからです。私たちが善意で多くの服を送っても、使い込まれた服なら現地の方々が困るだけ。しかし、世の中では大人服の寄付活動が進んでいます。そのため、どのように、この事実を発信するべきか、今後の課題だなと感じています。
高校生という立場を余すことなく100%使っちゃおう!
Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください
インスタで見つけました。自分が企画していたイベントを実現したいと思っていたのと、プレゼンやディスカッションをする機会が学校で多くあったので自然とは身についていたけれど、それについての詳細を具体的に教えられたわけでもなかったので、Teensのスキルを磨くプログラムに興味を持ちました。
Q:カタリバオンライン for Teensに参加してどうでしたか
90分間、集中して参加することができました。特に、イベント企画ではイベントの組み立て方を学びました。テーマとしていた「私たちとは誰を指しているのか」を考えた時に、客観的に自分の企画を捉えることで対象者がより具体的になりました。また、学校外の人と自分たちの企画をより良いものにするために、意見交換をすることで、新しい発見がたくさんありました。先ほど言った上映会を学校で実際に実施する予定なので、その前にオンライン上で練習できてよかったと感じています。
Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!
高校生というだけで、動いてみると、いろんな人が協力してくれます。ちょっと無理かもと思ったとしても、先生に相談したり自分でアクションを起こせばなんとかなるものです。もし同じように悩んでいる人がいれば思い切ってやってみるほうが良いです!