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否定されても諦めない原動力はどこからくるの?/”問い”を育む 高校生たちの物語 #42

 

「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。

日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。

あんさん・りんさんプロフィール

高2、長野県在住、探究学習をメインとしたコースへ所属。

中学3年時の高校選びをキッカケに、現在通学している高校の魅力を多くの生徒へ伝えたいと思うようになる。姉妹で同じテーマを探究中。帰宅して家にいる間も新しいアイデアを出し合い、夢中になって探究活動に取り組む日々を送っている。

 

中学生には、高校選びの視野を広げてもらいたい。

 

Q:今取り組んでいる探究活動/マイプロジェクトについて教えてください

 「学校を売ろう」というテーマで、これまで1年間、学校の魅力をPRしています。私たちは、今通っている学校がすごい好きだけど、その魅力があまり周りに伝わっていないと中学の頃から感じていたので、自分たちで伝えることにしました。

 

学力以外の部分も大事にしながら中学生には高校選びをしてほしい!という思いのもと活動をしています。地方なのであまり高校が多くないため、テストの点数で進学する学校が自動的に決まってる現実があるからです。

 

Q:上記の取り組みを始めたきっかけは何ですか

中3での体験入学で、先輩が優しく、先生がすごく面白かったので、絶対ここに進学したい!と思うようになりました。しかし、周りの人に伝えると、「学力的に勿体無い。大丈夫?」という反応が返ってきました。

 

そこから、「学校の良さ・情報を知らないから、否定されてしまうのはではないか?」と感じ、体験入学後に、「自分たちが学校の良さを広めていきたい!」と思い、私たちの中で探究の問いが生まれました。更に、探究できるコースなら魅力PRの活動ができるため入学を決意しました。

 

好きから始める高校選びを実現する取り組みでは、最近知名度が上がったという意見をたくさんもらい、中学の先生にも褒められ、これで入学者爆増するんじゃない?と期待していた反面、あまり入学者数は上がりませんでした。それは中学生の学力による学校選択が背景にあるからでした。

 

Q:取り組む中で嬉しかったこと、大変だったこと、工夫したことはありますか?

 ある時、娘さんがこの学校へ入学したことに、納得できていないお母さんへインタビューする機会がありました。

私たちは、中学での進路講話など、今まで自分達でしてきた経験を生かし、女子校の良さについて話をしました。すると、お母さんが涙を流しながら「皆さんの話を聞いて、初めて娘が女子校に入学して良かったと思った。娘の選択を応援して良かった。」と言って下さいました。

地域に根付いた考え方を覆せるか不安でしたが、私たちの「高校が好き!」という話で、お母さんの気持ちを動かした経験は、自分達の自信へ繋がりました

 

大変だったことは、高校生活と探究活動の両立です。私たちは探究活動をやっているクラスなので、周りの友達が「ノート取っとくよ」など協力してくれ、先生たちも「がんばってね」と声をかけてくださるなど、学校全体で協力してくれる環境がありました。できるだけリスクを最小限に抑え、みんなが応援してくれるから気持ち的にも頑張ろうと思え、気合いで乗り越えられました。

 

自ら声に出し、行動すると、応援してくれる人が沢山いることに気づいた。

 

 

Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか

 りんなさん:積極性が身につきました。今までは最前線に出たりしなかったし、自信を持って話すタイプではありませんでした。実際に活動をする中で、まずは行動してみることが大事だと気づきました。そこから自分の行動に自信を持って活動するようになりました。次第に、自分から行動し、話すことで前に出るのも楽しいと思えるようになりました。

 

あんなさん:意外とこの世の中には、一人のやりたい気持ちを応援してくれる人がいっぱいいることに気づきました。探究活動を通じて色んな人に自分の気持ちを伝え続けていると、デザイナーさんや企業の方が声をかけてくださったり、校長先生が中学校に連れてってくれました。色んな大人や高校生に出会い、自分のやりたいことを言ったら「面白いね」と言ってくれる機会が増え、一人じゃないと思えるようになりました。

 

Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか

 学力だけで高校を選択する問題を解決するために、高校生による高校のための合同説明会を開催することです。アンケートによると、中学生が高校生活をリアルにイメージできるのは、実際に在校生と話した時と、多く回答されていました。

そこで、中学時代、偏差値以外でどのように高校を選んだかを話したいと考えています。ただ知るだけではなく、生の声を聞いてリアルに想像できたり、学校のことを比較することが自分の高校選択の軸探しにとって重要だと思っています。合同ならすぐに色々な高校の話を聞きに行けるのが良いのではないでしょうか!

 

▼中学生への進路講話の様子

 

対話して自信がついた。全国には私達と同じ感覚を持つ高校生がいる。

 

Q:カタリバオンライン for Teensに参加してどうでしたか

 これから、合同高校説明会を開催したいと思っており、中学の先生や役所の方を納得させるにはどうすれば良いか学ぶために、イベント企画力を受講しました。

他の参加者からは、「中学生の時にそういう場が欲しかった!」や、「私も好きで高校選びをしようとしたら否定されちゃったことがある!」などの同世代の意見をもらえて、すごく背中を押してもらえたので、参加して良かったなと思ったし、楽しくて幸せな時間でした。

 

私たちもこの地域に住んでいると、何か情報が欲しいと思っても、交通の便の関係で、すごく時間がかかってしまったり、両親の助けが必要で、行動までにすごく勇気がいるんです。オンラインだと、周りの力に頼らずに自分たちの思いだけで参加できるのでありがたいと感じています。

 

すごく満足しています!星で表すと星5!近隣に大学がなく、大学生と関わる機会が一ミリもありませんでした。プログラムでサポートして下さるキャストの大学生は、本当に思考が深くて専門的なことを学ばれています。悩み相談をした時も、解決策を一緒に考えてくれ、アドバイスも的確で、実現に向けて大きくことが進みました。

 

Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!

 りんさん:「綺麗事を続けよう!」を共有したいです。私たちの取り組むテーマは、確かに難しい内容だし、それができたら苦労しないよ!と思うかもしれません。しかし、マイプロアワードで「私たちはこの活動を続けたい」と発表した時、審査員の方々に「綺麗事が物事の本質だから、それを見たくない人がそういうことを言うだけ。孤独だなと思うことがあっても、いろんな人がいいね!と協力してくれるから大丈夫だよ。」と言っていただけたことがすごく嬉しかったです。だから今度は、全国の皆さんも自分の活動を否定されてしまった時に大丈夫かな?と不安になるだろうけど、「一緒に綺麗事をやりませんか?」と伝えたいです。

 

あんさん:「好きを続ければ世界を変えられる。」です。自分達の世界を変えてこれたのは、好きという気持ちが原動力でした。

中学生の頃の自分だったら、「綺麗事じゃない?」て言われたら辞めていたと思う。でも、今はそういう言葉に出会っても諦めたくないと思って続けてきたそう思えたのは私たちの活動が好きだからです。自信がなかったり不安に思ったりすることもあると思うけど、好きって最強だし、自分も周りも変えられるし、きっといつかはそれが大きくなって世界も変えられるはずです。