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悩みを打ち明けるには何が必要なんだろう?/”問い”を育む 高校生たちの物語 #43

 

「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。

日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。

 

あやねさんプロフィール

高1、宮城県在住、軽音学部・生徒会・体育委員に所属。

課外活動では、2022年の夏頃に学生団体”empathie(エンパティー)”を設立し、メンタルヘルスに関する活動を意欲的に行なっている。趣味は写真撮影とデザイン作成。

 

抱え込んでいる悩みを共感・全肯定してもらえる居場所をつくりたい。

 

Q:今取り組んでいる探究活動/マイプロジェクトについて教えてください

 

高校生社会課題探究ゼミで出会ったメンバーと「悩みを共感・全肯定してもらえる居場所をつくりたい」という想いで22年8月下旬に学生団体を設立しました。

これまでイベントを2回(11月、12月)実施しました。1回目は、まちづくりスポット仙台というNPO法人に、フリースペースとなる場所や内容について相談し、中高生を対象にメンタルケアリストを使って企画しました。しかし、日時が中高生の予定に当てはまらなかったこともあり、私たちが想定していた以上に参加者が少なかったです。

そこで2回目は、前回よりも目標を明確に設定し、中高生限定をやめ、日時やテーブルのセッティングを工夫してみました。前回同様、メンタルケアリストを使用しながら、気軽に楽しめる雰囲気や会話を楽しんでもらい、悩みの実態をヒアリングしました。人が来やすい日時でしたが、中高生がまたしても少なかったので、次回はアクセスの良い場所にしたいと思っています。

またマイプロジェクトアワードに挑戦するなど、約半年で活動の幅がどんどん広がってきたと実感しています。マイプロジェクトアワードでは、地域特別賞をいただいた上、活動に関わる仲間とも出会うことができました。

 

Q:上記の取り組みを始めたきっかけは何ですか?

 

私は完璧主義な一面があり、入学してからハードな生活を送っていたため、うつ状態になってしまいました。自分の辛かった経験から「悩みを抱え込む苦しさ」に改めて気づくことができ、コロナの影響で自殺の増加等、メンタルのケアが行き届かないことが大きな社会問題に繋がっていると感じるようになりました。気持ちが落ち着いてきた頃に参加した探究ゼミのメンバーと悩みについて話してみたら、みんな悩みを抱え込んで辛かった経験をしていたと知り、「そういう状態を防ぎたい。」「私たちがなんとかしなきゃな。」と思って学生団体を設立しました。

 

Q:取り組む中で嬉しかったこと、大変だったこと、工夫したことはありますか

 

悩みを抱え込んでしまう人がたくさんいるので、自分の悩みを親や友達より話しやすく、また、客観的に捉えたり、自己肯定感を高めたりできる居場所や関係が必要なのではないかと思い、「22.5°の関係」に辿り着きました。友達とは違う。でも少しだけ友達にも他人にも近い存在のことを指します。私とメンバーの関係性が例に挙げられます。

 

それから、2回のイベントを通して集客の難しさを知り、SNSの強化をしました。イベントの宣伝や団体の紹介だけではなく、役に立つ情報を載せたり、お悩みの相談に乗ったり、ニーズを知るために質問箱を活用してアイデアの募集をしました。各個人のアカウントから団体のアカウントに繋がるように各個人の活動にも力を入れました。

 

お悩み相談を受けていると、私たちが過去に抱えていた内容と似たものもあります。そんな時は、自分の経験から共感しながら相手に寄り添うようにしています。そうすることで気軽に話せる団体だと思ってもらえるようになってきました。スクールカウンセラーなどは、悩みを打ち明けるハードルが高いのではないかと思ってこの活動を始めましたが、その思いが伝わっているのではないかと感じています。

 

▲探究活動の様子

活動を通して、自分自身のメンタルケアにも繋げることができた。

 

Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか

 

活動を通して、自分を含め、それぞれが抱えている悩みについて、「こんな背景があるんだ」「もしかするとこれが原因なのでは?」など、人の心の内側について知ることができました。それに伴い、なんで自分が悩んでいたかの全貌が見えてきました。

 

お悩み相談を受け付けている時には、話しやすい雰囲気づくりのために口調に気を配り、自分の辛かった経験を周りに自己開示もしつつ共感しながら活動することを大切にしました。その中で他者のメンタルケアをしながら自分のメンタルケアも行えることを学べました。

 

また、メンバーと過去の経験を話せるようになってきて、友達とはちょっと違う関係だからこそ、メンバー間の関係も深まり、かなり居心地が良くなってきたように感じます。

 

Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか

 

実現するには時間がかかると思いますが、悩みを抱え込まずにそれを自己開示できる社会を目指していきたいです。

 

そのために、まずは一緒に活動するメンバーをどんどん増やしていきたいです。私たちの取り組みを宮城県全体に広めていくのはもちろん、他の地域の方にもぜひ知っていただいて、どんどん悩みを抱えこまずにすむような関係性作りや居場所づくりをしていきたいです。

 

他には、カフェとコラボ・インスタライブ・ワークショップの開催・メンタルヘルスについての勉強会など、これから挑戦したいことが沢山あります。(笑)

 

同世代の多様な価値観に触れ、違う角度から自分の活動を再調整できた。

 

Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください

 

以前、高校の先生のお話でカタリバを知り、その後色々調べていたらカタリバオンライン for teensがヒットしました。

実践コース「ワークショップデザイン」に挑戦したいと思っていて、まずはスキル系に参加しています。プレゼンは得意ですが、改めて基礎を学び直したいと思い、申し込みました。

授業で活動するときに少し足りないと感じたため、ファシリにも参加しました。自分自身の考えは深められても、グループ内の考えや知識量などの違いから生まれるでこぼこさをまとめられなかったため、上手く進められるきっかけになるのでは?と感じました。また、ワークショップの時にも必要になると思って参加しました。

 

Q:カタリバオンライン for Teensに参加してどうでしたか

 

この2つのプログラムへ参加したことで、自分の興味のあるテーマを違う角度から見られるようになりました。そして、全国の高校生の価値観に触れ、こういう考え方もあるのかという発見がありました。

何よりも、自分の好きなものを肯定してもらえる嬉しさも学べたので、他の人の好きなものも肯定していけたら、悩みについても話しやすくなるのかなと考えるきっかけになったことは大きな収穫でした。

 

Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!

 

自己肯定感を高めながら好奇心を大切にして、全力で自分の活動に挑戦し続ける楽しさを、ぜひ知って欲しいなと思っています!

応援しています!