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物事の“本質”って、どうやったら見つけられるんだろう?/”問い”を育む 高校生たちの物語 #48

 

「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。

日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。

たいしさんプロフィール

高校2年生、山形県出身。

弓道、ギター、アートなど幅広い趣味を持つものの、特にアート活動に力を入れている。様々な太さのペンを使って白と黒だけで描くペン画に取り組んだり、地域の美術館でボランティアを行い市民の交流を支援したりしている。

夏から発展途上国への留学を予定中。

 

人との出会いで、「発展途上国」への見方がガラリと変わった。

 

Q:今取り組んでいる探究活動/マイプロジェクトについて教えてください

 

まだまだスタートさせたばかりですが、「発展途上国への国際協力」に対する理解を広めていく活動をしています。多くの人が抱いている「発展途上国はかわいそう、恵まれていない」という見方を変えていきたいです。

1年前にルワンダで活動している竹田憲弘さんのお話を聞くまでは、私も「発展途上国は恵まれていない、だから助けなくてはいけない」と思っていました。4歳の頃に初めて海外旅行を経験した私は、機内で見た「アベンジャーズ」という映画に感銘を受け、ヒーローになって人助けをしたい・海外に出ていきたい、と強く思っていました。だからこそ、現地について詳しく知らないにもかかわらず、青年海外協力隊として発展途上国に行き恵まれていない人を助けるんだと志していました。

しかし竹田さんのお話を聞いて初めて、今まで「恵まれていない」と思っていた途上国が、実は活力に溢れた未来に繋がる場所だと知ったんです。たとえば、たしかに衛生・金銭面では豊かではないかもしれませんが、法基盤がないためにイノベーションが進みやすく、ドローン開発では世界最先端と言われています。

竹田さんのお話を聞いて現地の実態や可能性について知り、自分の考え方は間違っていたんだと反省しました。こうした勝手な思い込み・見方をしている人はきっと自分だけではないはずなので、実態を伝えていくことで、発展途上国への見方を変えていきたいと思っています。

 

色々な経験をすることで、多様な側面から物事を見られる人になりたい。

 

Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか

 

物事には色々な見方があるんだ、ということが一番の気づきです。私自身、「途上国はかわいそうだ、助けなきゃ」と決めつけていたのですが、竹田さんのお話を聞き現地の人の目線に立ってみると、全く異なる景色が見えるようになってきました。

子どもがバケツで水を運んでいる様子を見た時、私たちは勝手に「恵まれていない・かわいそうな人」と認識するかもしれませんが、彼らは「恵まれているかそうでないか」という尺度では生きていないし、楽しそうに生きています。恵まれていないのは彼らの生活ではなく、そういった見方をしている私たち自身の精神・捉え方なのではないかと思います。

こうした気づきから、物事を一側面だけでなく多様な側面から見られるようになりたいと思い、色々な人と関わる機会をつくって相手の立場を想像したり、質問することで相手の考えを知ろうとしたりしています。

 

Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか

 

まずは、無事に採択されたトビタテ留学Japanでの活動を通して、子どもたちとアート制作を行いながら「国際協力」について理解を深め、帰国後にその経験を伝えていくことをしたいです。具体的には、現在ボランティア活動をさせてもらっている美術館で、留学中に制作したアートを媒体とした展覧会を随時開催していく予定です。

また、「AIアートとアート」の価値づけや関係性についても研究していきたいと思っています。AIアートの出現により、多くの作品がNFT上で高額で売買されているものの、価値よりも注目度によって価格が決まっていくため、本当に価値あるアートが毀損されてしまうのではないかと懸念しています。ボランティア活動をしている美術館では、アートを通して人との繋がりを作っていくことを大切にしているのですが、アートは完成品そのものでなく、表現する過程で生まれる繋がりや想いこそが価値なのではないかと思っています。このテーマについても、東京大学で実施されているグローバルサイエンスキャンパスに応募している所なので、採択されれば更に学びを深める機会にしていけると思っています。

 

▲たいしさんが趣味で取り組んでいるペン画アート。

 

カタリバオンラインで学んだ「誰に何を伝えたいか」は、受験でもアート制作でも役に立つ!

 

Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください

 

元々関心のあったマイプロジェクトAwardについて調べている中で、カタリバオンライン for Teensの存在を知ったのがきっかけです。ちょうど大学入試やトビタテ留学Japanの審査に向けて、デザインやプレゼンを学びたいと思っていたため、プログラム一覧を見てすぐに参加を決めました。探究を進めるために必要なスキルは学校内で学習するものの、数字の処理が主で、見せ方や話し方といった文系的な内容は習うことができていなかったんです。

特に印象的だったのは「デザインスキル」です。伝えたい相手によって、デザインの仕方やフォント・色を変える必要がある、というのは新しい発見でした。実際にトビタテ留学Japanの二次面接の際にも、デザインスキルで学んだコツを活かしてCanvaでプレゼン資料を作成しましたし、アート制作の際にも「誰に何を伝えたいのか」を意識していこうと思っています。

 

Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!

 

自分を決めつけないで、色んなことをして欲しいです。私自身、将来の夢を見つけるのにすごく苦労をしました。工作が好きだから発明家になりたい、人助けをしたいから青年海外協力隊に入りたい、アートが好きだからアーティストになりたい、など、二転三転した時があったのですが、今では将来の夢は一つだけじゃなくて良い、と思っています。

職業としては単一がテンプレートかもしれませんが、一つの分野だけでは出来ないこともあります。色々な知識を学び、総動員するからこそ浮かぶ質問やアイデアもあるはずです。一つのものに拘り過ぎず、色々なものに拘り続けて将来の夢を決めたらいいと思っています。

 

▼たいしさんが実施した高校生企画はこちら!▼

Teens会員の高校生持ち込み企画「ルワンダ留学予定の高校生と考える!『国際協力』の未来~発展途上国って、本当に『かわいそう』?~」(4/24実施)