自分の意見を言うのは恥ずかしいこと?/”問い”を育む 高校生たちの物語 #52
「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。
日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。
おーがさんプロフィール
高校3年生、愛知県出身。小学6年生から続けている陸上(長距離)では国体に出場するほどの実力の持ち主。趣味はF1観戦、DJ、読書。 |
本を読んでは深く考え、現場に足を運んでは体感し、少しずつ見つけ始めた探究テーマ。
Q:今考えている探究活動/マイプロジェクトについて教えてください
今もっとも関心があるテーマは「教育と社会の同期」です。学校の中では勉強を頑張った人が報われたり、部活の上下関係を生き抜いた人が活躍できたりと、個人の能力や活動にフォーカスされがちです。
一方で、最近読んだ『だから僕たちは、組織を変えていける』という経営学の本によると、結果を出せる組織の共通点は「みんなで協力してみんなで成長していく」ことだと書いてありました。この事は、7月に開催された「特別企画:カタリバ@Google」に参加しても痛感しました。実際にGoogleで働いている社員さんたちの話を聞いていると、個人ではなく一人ひとりが協力してチームで結果を出し、成長していくことが求められるそうです。学校の中では「個人で成果主義」が求められる一方で、社会に出ると「チームで人に寄り添い成果を出す」ことが求められるという違いに、疑問を持っています。
Q:どのように問い・テーマを育んでいるのですか
もともと小さい頃から、一つのことについて考え続けるのが好きでした。本を読むと知識が身について、自分なりの答えを出すまでの時間が短くなっていくので、本を読んでは考えるということを繰り返した結果、「なぜ?」に対する自分の意見を持つのが得意になりました。
「学校で学んだことが社会に出てからも生かせるの?」という疑問をよく聞きますが、最近経営学の本を読んで初めて、学校の授業が「こういうところで役に立つのか」と気づくことができました。実は社会に役立つことを学んでいるからこそ、学習の意義を生徒に伝えきれていないのは勿体ないと感じています。
▲本を読んで考えながら整理したノート。
アイデアを形にして、新しいものを生み出したい。
Q:今後、どんなことに挑戦していきたいですか?
私は、いろいろな物事について深く考えることは得意でたくさんやってきているのですが、アウトプットする段階に至っていないものが9割以上あるため、自分をもっと成長させ、面白いものやサービスを生み出していけるようになりたいです。映画やアニメに出てくる「こんなものがあったらいいな」と感じるものは、実は大手企業がすでに形にしていることが多いため、その具現化力を真似していきながら、自分のアイデアをビジネスとして成立させられるようになりたいです。
その一環として、まずは投資や税金の支払いなどお金について学び教える機会を作っていく予定です。これから大学で経営・経済・商学について総合的に学ぶので、そこで得た知識を咀嚼して後輩に伝えていけたらと思っています。
もう一つは、ゲームから学ぶ授業づくりに携わりたいです。ゲームは「やりなさい」と言われなくても好きでやる人が多いと思いますが、勉強も自発的に好きでやってしまうようなものになったらいいなと思っています。ゲームの中毒性に疑問を持った際、任天堂が執筆した本を読んで、興味を持ってもらえる授業の作り方について考えました。さらに学びを深め、同学年の教員志望の友達に共有していくことで、教育が変わっていくのではないかと考えています。
経験や知識を蓄えて、内面的に豊かな人に。
Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください
グループワークやプレゼンテーションで自分のアイデアを話すのが大好きなので、たくさん機会を作りたいと思っていました。しかし、いざ学校でグループワークをしてみると、他の子は話すのを恥ずかしがっていたり、真剣に取り組むのが格好悪いような雰囲気があり、結果的に、与えられた課題について答えを出せずに終わることも多い状況でした。自分が疑問に思っていることについて、他の子の意見も聞いてみたいと思っていた時に、ちょうどInstagramでカタリバの「全国の高校生とオンラインで話し合う」という広告を見つけ、「これだ!」と感じすぐに予約しました。
Q:カタリバオンライン for Teensに参加してどうでしたか
プログラムのテーマに興味を持って参加している生徒が多いので、自分の考えを話せるだけでなく、相手の意見に共感したり、さらに追加の意見を重ねるような対話が行われていることにものすごく感動しました。とくに印象に残っているのは、「ファシリテーションスキル」のプログラムです。私は自分のことをたくさん話してしまう性格なので、司会などまとめ役を任されると、周りの意見を吸収しきれずに終わってしまう感覚がありました。ファシリテーションのプログラムに参加して、相手にどのように意見を求めたら良いのかを学んで実践したところ、参加者がたくさん意見を出してくれたり、終始楽しい雰囲気で過ごすことができて、とても役に立ちました。また、アイスブレイクの段階で、その環境でどんな発言をしても良いという安心できる状況を作り出すことが大事だと学んだので、特に意識的に取り組んでいます。
Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!
アンテナを常に広く張って、興味のあることや疑問が少しでも生まれたら、ぜひそれに対して深く考えてみてほしいと思います。また、自分の経験や知識を蓄えて、内面的に豊かな人になってほしいです。これからは人に寄り添うことが大事になるので、どうすれば相手に喜んでもらえるかについて考える方法をたくさん持っておくことで、社会で活躍していけると確信しています。