どうすれば「納得」できる答えにたどり着ける?/”問い”を育む 高校生たちの物語 #67
「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。
日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。
りこさんプロフィール
埼玉県に住む高校3年生。音楽部で合唱を楽しんでいる。もともと音楽が好きで、ONE OK ROCK、Vaundy、Mrs. GREEN APPLEの曲をよく聴く。進路や将来について考える中で、「自分は何のために勉強しているのか?」という疑問にぶつかり、哲学対話を通じて自己理解を深めることに興味を持つようになった。 |
「正解はない」からこそ、考え続ける意味がある
Q:今取り組んでいる探究活動/マイプロジェクトについて教えてください
私が今取り組んでいるのは、「自己分析と哲学対話を通じた自己理解の探究」です。
高校1年生の秋、進路について考える中で、「自分は何のために勉強しているのか?」という問いが浮かびました。変化のない日常を過ごすだけでは、勉強の目的や自分の望む生き方をみつけることができないと感じました。そんな中で、考え続けることに価値を見いだせる「哲学」と出会いました。哲学対話のワークショップに参加し、自分の考えを掘り下げることで、「問い」を持ち続けることの大切さを実感しました。
さらに、もっと多くの人と対話を重ねたいと思い、カタリバのプログラムにも興味を持つようになりました。実践力が磨けるプログラムに参加し、自分自身の問いを深めながら、他の高校生と意見を交わすことで、多様な価値観に触れ、視野を広げています。
▲自己分析で影響を受けた書籍
もっと自由に考えたい!「自己理解」を深める面白さに出会った
Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか
この活動を通じて、「考えること」自体が学びであり、自分を知ることが世界を理解することにつながると実感しました。
以前の私は、目の前の課題をこなすことに精一杯で、自分の将来についてじっくり向き合う時間がありませんでした。でも、探究を続ける中で、自分の思考や感情に意識を向け、「問い続けること」の大切さと、「全てのことに意味がある」ということに気づきました。以前は否定的に捉えていた勉強も、「自己を知るためのツール」と考え、前向きに取り組む姿勢を大切にしています。さらに、多くの人との対話を通じて、自分の価値観が磨かれ、自分の考えを言葉にする力もついてきたと感じます。
また、学校とは異なる環境に身を置くことで、新たな刺激を受け、自分の視野が広がったことも大きな変化です。
Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか
今後は、自分自身の過去を基にしながら、さらに学びと対話を深め、自己理解とその表現の方法を探究していきたいです。情報にあふれた時代の中で、一度立ち止まり、自分の考えを整理し、言葉にすることはとても必要なことだと考えています。
例えば、自分の影響を受けた出来事を記録し、振り返ることで自己理解を深める「年表アプリの開発」や、学校の中で自己分析の機会を増やし、生徒が自分の考えを深められる仕組みをつくることに興味を持っています。また、哲学対話の経験を活かし「問いを深める場」を作ることにも挑戦したいです。高校生同士が気軽に対話し、価値観を共有できる空間をつくることで、「自分の考えを持つこと」の大切さを広めていきたいと思っています。
さらに、大学進学後もこのテーマを探究し、認知言語学や教育学、哲学の重要性を研究し、将来的には教育やキャリア支援の分野で活かせる活動につなげたいです。
私が求めていたのは、考えを深め合える対話の場だった
Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください
「何かをしたい」「新しい環境に飛び込みたい」という思いがありました。学校の中では自分の興味・関心を深める場が少なく、同じ悩みや興味を持つ人と出会いたいと考えていました。
また、進路について悩んでいた時期でもあり、大学生や社会人と話せる場がほしいと思ったのも理由の一つです。ネットで情報を探しているうちにカタリバの実践コースを見つけ、「ここなら自分の問いを深められるかもしれない」と直感的に感じました。
Q:カタリバオンライン for Teensに参加してどうでしたか
高校生が自由なテーマを設定し、オンライン講師に挑戦できるプログラムを初めて受講したとき、テーマ設定にめちゃくちゃ苦労しました。考えれば考えるほど、「これが本当に自分が探究したいテーマなのか?」と迷ってしまい、全然決められませんでした。そのときは、哲学に興味があるはずなのに、なぜか目の前の興味関心から「農業」というテーマを選んでいました。「食と人とのつながりって面白そう」と思ったものの、いざ深めようとすると、なんだかしっくりこなくて。「あれ、自分って結局何がしたいんだっけ?」と、自分自身に対して混乱していました。
そんなとき、大学生と対話をする機会があって、「りこはそもそも、なぜそのテーマを選んだの?」と問いかけてもらいました。話しているうちに、「本当は哲学対話みたいに、人の価値観や考え方の違いに触れることが好きなんだ」ということに気づきました。「農業じゃないな…!」と、ようやく納得できて、最終的に「哲学対話を通じた自己理解」をテーマに決めました。
その後、同じプログラムへ4回参加することで、自分の考えを深める楽しさを実感できるようになりました。他の高校生と対話することで、「同じように悩んでいる人がいる」と気づき、安心感を得ることもできました。今では、テーマを決めることも対話のプロセスの一部として楽しめるようになっています。
Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!
「自分が本当にやりたいことって何だろう?」
そう思ったとき、ぜひ一度「問い」を持つことを大切にしてみてください。そして、その「問い」を誰かと話してみることをおすすめします。
最初はモヤモヤしていても大丈夫。対話を重ねることで、自分の考えが整理され、新たな気づきが生まれるはずです。
もし今、学校の中で自分の考えを話せる場がないと感じているなら、外のコミュニティに飛び込んでみるのも一つの方法です。カタリバのような場には、同じように悩み、考えている仲間がたくさんいます。
「問い」を育てることは、自分自身を知ることにつながります。そして、それが未来の選択につながるはずです。ぜひ、自分だけの問いを大切にしてください!